実施済
担当者紹介
沼津工業技術支援センター バイオ科 主任研究員 鈴木雅博
静岡県出身の私は、大学・大学院で、放線菌と呼ばれる微生物に関する研究に取り組んでいました。静岡県庁に入庁してからは、県内の清酒をはじめとする酒類産業の支援を行うため、酵母や麴菌などの研究を行っています。
私自身、お酒が好きで、休日は食事と一緒に美味しい静岡県産の清酒を楽しんでおり、是非皆さまには静岡県の清酒の魅力や県内酒造メーカー様の醸造技術の高さを知っていただきたいと強く思っております。
本プロジェクトで素晴らしい酵母が開発できれば、数年後には、この酵母を使った素晴らしいお酒が皆さまの元へお届けできると思います。
よろしくお願いいたします。
研究内容
静岡県は、令和5年11月に県産清酒が、国税庁から地理的表示GIに指定されたことを受け、業界や関係団体と連携して、販路拡大に向けた取り組みを行っています。
国内外の様々な清酒のコンテストでは、香り豊かでキレの良い吟醸酒が高く評価されており、県内業界からは、県産清酒の消費拡大に向けて、このような酒質を実現する酵母の開発が強く求められています。
そこで本プロジェクトでは、フルーティーな香りが豊かで、キレの良いスッキリとした味わいの食中酒に適した清酒の製造に用いる新たな静岡酵母の開発を行います。
【本プロジェクトの意義と将来的なビジョン】
清酒造りにおける酵母の役割
清酒の一般的な造り方 清酒造りにおける酵母の役割
清酒は、麴菌と酵母の2種類の微生物が協働する「並行複発酵」と呼ばれる特有の発酵形式により造られる醸造酒です。原料米に含まれるデンプンやタンパク質を麴菌が分解して、その分解物を酵母が食べることによって、アルコールや清酒特有の香味成分が生成されます。
特に、清酒中に含まれる吟醸香と呼ばれるフルーティーな香り成分や、味のキレに関与する酸成分は、酵母により生成されるものが多くを占めており、酵母の個性がお酒の香味に大きく影響を与えています。
研究のビジョン
本プロジェクトでは、現代のニーズに合った「吟醸香豊かでキレの良い味わいの酒質」を実現する新しい静岡酵母の開発に取り組みます。本県産の清酒の出荷額及び製造数量は、コロナ禍以前は非常に好調でしたが、コロナ禍を境にやや低迷傾向にあります。静岡県では、このような厳しい状況下にある県内清酒業界を支援するために、新たな県オリジナル酒造好適米「令和誉富士」や本県初となる県オリジナル清酒用種麴「静岡種麴No.1」の開発を行ってきました。
本プロジェクトにて新たな静岡酵母を開発することで、現代の市場ニーズに合致した「高品質な新しいオール静岡県産吟醸酒」を消費者の皆さまへお届けするとともに、県内業界の活性化に繋げていきたいと考えております。
【GI静岡について】
第1回GI静岡認定酒審査会(令和6年3月8日)
お酒の地理的表示(GI)制度とは、地域の共有財産である「産地名」の適切な使用を促進することを目的とした制度です。GIの指定を受けることは、産地にとっては、地域ブランドの確立による「他の製品との差別化」、消費者にとっては、一定の品質が確保されていることによる「信頼性の向上」という効果があります。
静岡県の清酒は、総じて含まれる酸が少なく、淡麗で穏やかな旨味を感じることのできる、キレイで丸みのある酒質です。この酒質を実現するのに大きな役割を果たしているのが、静岡酵母と呼ばれる静岡県独自の清酒用酵母になります。GI静岡では、原料の要件として、「発酵に用いる酵母には、静岡酵母を用いること」が定められており、他産地のGIとの大きな違いとなっています。
【静岡酵母とは】
静岡酵母HD-1
静岡酵母は、静岡県工業試験場(現・静岡県工業技術研究所沼津工業技術支援センター)が、静岡県酒造組合と共同開発した、本県オリジナルの清酒用酵母です。昭和50年代から研究が開始され、現在は7種類の静岡酵母が県内の酒造メーカーにて使用されています。静岡酵母は、酢酸イソアミルと呼ばれるバナナ様の香りが優勢であり、酸が少なく淡麗な味わいの酒質となることが大きな特徴です。
成果報告
〇ふるさとチョイスGCF「新しい静岡酵母を開発して吟醸香豊かな静岡県産清酒を国内外に届けたい!」
https://www.furusato-tax.jp/gcf/3014?utm_source=shizuoka&utm_medium=mail_list
謝辞
みなさまのご支援のおかげで、無事目標金額を達成することが出来ました。
温かいメッセージと共に、応援いただき本当にありがとうございました。
静岡酵母や静岡県の美味しいお酒に期待されている方が、こんなにもたくさんいらっしゃることを改めて実感いたしました。
クラウドファンディング終了後は、ふるさとチョイスGCF(https://www.furusato-tax.jp/gcf/3014?utm_source=shizuoka&utm_medium=mail_list)等で研究の状況等について、更新させていただきます。是非、ご確認ください。
ご支援いただいた皆様
89の企業・個人の皆様